【ISO/JIS/IEEE規格】JIS Q規格の概要と取得メリット・デメリット

こんにちは。
今回は、JIS Q規格の概要と取得メリット・デメリットについてご紹介したいと思います。
取り上げた経緯としては、規格関連の学習を再度学微直して見たいと思いました。
ISOやソフトウェアに関連するものがありますので、知識を得ることで、業務にも活かせると思います。

今回の記事の構成は以下となります。

□1.JIS Q規格の概要/JIS Q規格とはなにか?

□2.JIS Q規格の各種紹介

□3.JIS Q規格取得のメリットとデメリット

□4.費用と運用例について

□5.まとめ

□1.JIS Q規格の概要/JIS Q規格とはなにか?

image01

●JIS Q規格の概要

JIS(日本産業規格)は、産業標準化法に基づく日本の国家規格で、製品・サービス・データなどの品質、安全性、互換性を確保するためのルールです。
総数1万件以上あり、分類はA(一般・土木)、B(機械)、C(電気電子)など26部門に分かれます。
特に「Q」部門は、管理システム(マネジメントシステム)関連で、ISO/IECなどの国際規格を日本向けに翻訳・調整したものが多く、企業が認証を取得して運用改善に活用します。

●Q分類とは?

Q分類の特徴として、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を基調とし、継続的な改善を促します。

ソフトウェア会社の場合、データ保護や品質保証に直結し、顧客からの信頼獲得や入札要件として有効です。

□2.JIS Q規格の各種紹介

image02

本記事では、ソフトウェア会社向けに、関連性の高い規格を5つ選んで紹介します。

各規格の概要を簡潔にし、メリット・デメリットを表形式でまとめます。

規格名概要備考
JIS Q 15001
(個人情報保護マネジメントシステム – 要求事項)
個人情報を適切に管理するためのマネジメントシステムを規定。
個人情報保護法に準拠し、プライバシーマーク(Pマーク)の基盤規格。ソフトウェア会社では、ユーザー登録やデータ処理サービスで必須。
PDCAサイクルで社内体制を構築し、漏洩防止やコンプライアンスを確保。2023年改正で、個人情報保護法の「要配慮個人情報」対応が強化され、死者情報も遺族保護の観点で扱うよう補足追加。
最新版は2023年改正
JIS Q 9001
(品質マネジメントシステム – 要求事項)
製品/サービスの品質を継続的に向上させるためのシステム。
ソフトウェア開発プロセス(要件定義〜テスト)を標準化。顧客満足を重視し、リスクベースの思考を導入。
ISO 9001の日本版
JIS Q 27001
(情報セキュリティマネジメントシステム – 要求事項)
情報資産(データ・システム)の機密性・完全性・可用性を守るシステム。
ソフトウェア会社でクラウドサービスやAPI保護に適用。
リスクアセスメントとコントロールを義務化。
ISO/IEC 27001の日本版
JIS Q 9100
(品質マネジメントシステム – 航空宇宙及び防衛分野における要求事項)
航空宇宙・防衛産業向け品質管理。
ソフトウェア会社では、組み込みソフトやシミュレーション開発でサプライチェーン適用。
部品トレーサビリティやリスク管理を強化。
ISO 9001ベースの業界特化版
JIS Q 14001
(環境マネジメントシステム – 要求事項)
環境負荷低減のためのシステム。ソフトウェア会社では、グリーンIT(データセンターの省エネ)やサステナビリティ報告に活用。ISO 14001の日本版、ソフトウェア間接適用

□3.JIS Q規格取得のメリットとデメリット

image03

各規格のメリットどデメリットをまとめてみました。

規格名メリットデメリット
JIS Q 15001
(個人情報保護マネジメントシステム – 要求事項)
・顧客/ユーザーからの信頼向上:
BtoC/BtoBサービスで「規格準拠の個人情報管理」をアピール可能(例: アプリのプライバシーポリシーでPマーク表示)。
・リスク低減:
 漏洩事故時の法的・信用損失を防ぎ、ISO 27001との組み合わせで効率化。
・市場競争力:
 公的入札や大企業取引で有利(700社以上が認証取得)。
・初期費用高:
審査・コンサルで数百万円かかる中小企業負担大。
・ 運用負担:
定期監査・文書管理が必要で、社内リソースを割く(小規模ソフトウェア会社ではPDCA運用が煩雑)。
・改正頻度:
法改正(2022年個人情報保護法)で頻繁に更新が必要。
JIS Q 9001
(品質マネジメントシステム – 要求事項)
・業務効率化:
開発プロセスの標準化でエラー減、納期短縮(ソフトウェア会社でバグ低減に効果)。
・信頼獲得:
認証取得で「高品質サービス」を証明、海外取引もスムーズ。
・継続改善:
PDCAで社内文化を変革、従業員スキル向上。
・柔軟性低下:
厳格なドキュメント要求でイノベーションが制限される可能性。
・費用対効果:
中小企業でROI(投資回収)が遅れる場合あり(審査費用100万円〜)。
・過度な文書化:
ソフトウェアの敏捷開発(アジャイル)と相性が悪い場合。
JIS Q 27001
(情報セキュリティマネジメントシステム – 要求事項)
・セキュリティ強化:
サイバー攻撃対策で顧客データ保護、JIS Q 15001との併用で個人情報特化。
・グローバル対応:
国際取引でISO互換性が高く、信頼性向上(日本企業7000社以上取得)。
・事業継続性:
インシデント対応計画でダウンタイム短縮。
・複雑さ:
リスク評価の詳細さが負担大(ソフトウェア会社でITリテラシー不足時)。
・維持コスト:
年次審査で継続費用(数十万円/年)。
・過剰管理:
小規模チームで「機密情報」の定義が曖昧になりやすい。
JIS Q 9100
(品質マネジメントシステム – 航空宇宙及び防衛分野における要求事項)
・業界特化信頼:
航空ソフト開発でグローバル基準(IAQG準拠)獲得、海外発注増加。
・安全確保:
欠陥防止で事故リスク低減、ソフトウェアの検証プロセス強化。
・競争優位:
日本700事業所以上取得、SpaceXやJAXA関連取引で有利
・業界限定:
一般ソフトウェア会社では適用外が多く、取得価値が低い。
・高コスト:
専門審査で費用増(数百万円)、文書量多大。
・厳格さ:
変更管理が煩雑で、ソフトウェアのイテレーション開発に不向き
JIS Q 14001
(環境マネジメントシステム – 要求事項)
・ESG対応:
環境意識の高まりで顧客アピール(例: クラウドサービスの炭素排出削減)。
・コスト削減:
エネルギー効率化で運用費低減。
・社会的責任:
認証でブランドイメージ向上、投資家評価高。
・関連薄:
ソフトウェアの直接環境影響が少なく、優先度低。
・測定難:
間接影響(サーバー電力)の追跡が複雑。
・追加負担:
他のQ規格との統合で重複作業増。

これらの規格は、すべてPDCAを基盤とし、ソフトウェア会社で組み合わせ取得(例: Q 9001 + Q 27001)が
奨されます。
メリットの共通点は「信頼アピール」と「リスク管理」、デメリットは「コスト・運用負担」ですが、中小企業ではコンサル活用で軽減可能です。

□4.費用と運用例について

image04

これらのJISQをの取得時費用や適用例について、ご紹介したいと思います。

●取得プロセスや費用

1) 規格購入・理解(JISCサイトで閲覧可能)

JISC 日本産業標準調査会サイト

https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=Q

運用までのドキュメント整備や、運用時のフローなど公式サイトや、書籍を元に理解を深めます。
基本的には、JISQ規格をはじめ、ISO規格を取得する企業は、コンサル会社に導入サポートを依頼するのが一般的と思われます。

2) 社内体制構築(PDCA適用)
規格を社内で運用する組織、関係者を整理し体制を構築します。
一般的には「情報システム」部や課、その他開発部の部長や責任者も加わるケースもあります。
個人情報は、紙媒体の他、データでも個人情報を扱うケースもあるためです。

3) 第三者認証機関(JQAなど)審査
一般的に規格の審査は、社内内部での内部審査の他、外部審査を行う必要があります。
規格を適正に運用しているか確認するためです。
審査によっては、数時間〜数日かかる場合もあります。

4) 認証維持(年次監査)
規格取得後は、年ごとに適正に運用できているかの認証を受ける必要があります。
費用は規模により100〜500万円、期間6ヶ月〜1年が見込まれます。

●ソフトウェア会社向け適用例

一例として、各規格を取得して、適用した場合の例を上げています。

・JIS Q 15001:

BtoCアプリ開発でユーザー個人情報を扱う場合、データ暗号化・同意取得プロセスを規格化。

メリットとして、GDPR(EUデータ保護)対応も容易になり、海外展開アピール。事例: フィンテック企業がPマーク取得でユーザー獲得。

・JIS Q 27001:

SaaSサービスで機密データを扱う場合、リスクアセスメントで脆弱性スキャンを実施。

事例: ソフトウェアベンダーが認証取得後、大手企業との契約増加。

・JIS Q 9001:

アジャイル開発で品質レビューを標準化。

事例: テスト自動化ツール開発企業が取得し、バグ率を運用前よりも低減。

□5.まとめ

image05

まとめとして、JIS Q規格はソフトウェア関連のものはISOに関連するものが様々あり、

運用のメリット・デメリットがそれぞれあることがわかったと思います。

・JIS Q 15001:個人情報保護マネジメントシステム – 要求事項

・JIS Q 9001:品質マネジメントシステム – 要求事項

・JIS Q 27001:情報セキュリティマネジメントシステム – 要求事項

・JIS Q 9100:品質マネジメントシステム – 航空宇宙及び防衛分野における要求事項

・JIS Q 14001:環境マネジメントシステム – 要求事項

これらの規格を理解することで、すでに運用中の規格の理解が深まったり、新たに導入への参考になれば幸いです。

今後も、規格やソフトウェアテストに関する情報を定期的に発信していきたいと思いますので、今後も是非アクセスいただけますと幸いです。

最後までみて頂き、ありがとうございました!

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
最新情報をチェックしよう!