Susakiさん、新しい機能のテスト計画を作らなきゃいけないんですけど、テスト分析からテストレベルの選定、スケジュール調整まで……考えることが多すぎて、これだけで半日くらいかかっちゃいそうです……



テスト計画はQAの要だからね。
でもMisakiさん、実は生成AIを上手く活用すれば、その半日かかっていた作業を1時間以内に終わらせることも可能なんだよ。
えっ、本当ですか!?
ぜひその方法を教えてください!
今回は、QA業務における「テスト計画」の作成プロセスを、AIを活用して劇的に効率化する方法をご紹介します。
AIを活用する前(従来)のテスト計画の取り組みと課題
これまで、テスト計画(テスト分析、テスト選定、スケジュールの各観点)を立てる際、私たちは以下のような手作業に多くの時間を奪われていました。
テスト分析
- プロダクトのテスト分析(主にリスク)を1から考慮する必要があった。
- バグトラックシステム(JiraやRedmineなど)から、過去の類似プロダクトの不具合情報を自力で検索して見つける必要があった。
テスト選定(テストレベル・テストタイプ)
- 実施するテストレベルやテストタイプを、プロダクトの特性ごとに毎回頭を悩ませて考える必要があった。
テストスケジュール
- スケジュールをチーム間で相談しながら、優先順位や対応時期を調整する必要があった。
- テスト分析、テスト選定、テストスケジュールの各内容について「意思決定」するため、チームMTGを数度行なう必要があった。
従来の課題
情報収集やチーム間の調整にどうしても時間がかかってしまい、肝心の『考える・判断する』プロセスになかなか集中できないのがこれまでの課題でした。
それらをAI活用することで、改善する事ができました。
次からどのように変わったのか、述べて行きたいと思います。
AIを活用した場合のテスト計画作成はどう変わったか?
AIを業務プロセスに組み込むことで、これらの課題は以下のようにクリアになります。
テスト分析
- 分析時間が大幅に短縮でき、過去の不具合チケットやエスカレーションの履歴をAIに読み込ませて素早く活用できるようになりました。(詳細は前回の記事をご参照ください)


テスト選定(テストレベル・テストタイプ)
- どのテストレベル(単体、統合、システム、受け入れ)で、どんなテストタイプ(機能、非機能)を行なうべきか、AIがチケット情報を元に提案してくれるため、一から考える必要がなくなりました。
- アップデートや追加開発の場合でも、過去の類似プロダクトや不具合チケット情報を根拠に、推奨するテストをピックアップしてくれます。
テストスケジュール
- スケジュールの「ドラフト(草案)」まではAIが立ててくれます。
- チームメンバーはドラフト内容をレビューし、その後の「意思決定」のみにフォーカスすることができるようになりました。
⚠️ AI活用の注意点
Susakiさん、
AIがドラフトを作ってくれるなら、もう全部お任せしちゃってもいいんじゃないですか?



そこが落とし穴なんだ。
AIはあくまで強力なアシスタント。
最終的な責任と判断は必ず『ヒト』が行う必要があるよ。
以下の点に注意して使ってみよう。
ヒトによる「レビュー」と「意思決定」は必須
全ての分野でAI頼りにするのではなく、必ず人間が内容を確認し、「最終的な決定」を行います。
「優先度」と「影響範囲」で絞り込む
AIが出力するテスト分析・テストタイプ・テストレベルは、場合によって肥大化(提案が多すぎること)があります。「優先度」と「影響範」囲の大きいものに絞って対応しましょう。
プロンプトは「1要素」ずつ依頼する
テスト分析、テスト選定、テストスケジュールの3要素を一度にAIに依頼するとコンテキストが肥大化し、エラーや精度の低下を招きます。
必ず1要素ずつ整理して依頼するようにしてください。
実践!そのまま使えるプロンプト例
ここからは、実際にAIにテスト計画のドラフトを作成させるためのプロンプト例をご紹介します。
コピペしてご自身のプロジェクトに合わせて活用してみてください。
【前提条件】
- バグトラックシステムにAIツールが連携済(MCP設定済)、または事前にバグトラックで関連チケットをCSV出力済みであること。
- 開発する機能に対して、チケット内に「要件」「機能仕様」「影響範囲」「ユースケース」が明確になっていること。
1.テスト分析(主にプロダクトリスクをターゲット)のプロンプト
既存機能の更新・アップデートの場合
「◯◯◯」機能の追加開発予定です。
追加開発する際に、考慮すべきプロダクトのリスクとリスク対策を挙げてください。
①リスク
開発を行なう上で、考慮すべきプロダクトリスクを挙げてください。
・a:追加開発で既存機能に影響が出るリスク
・b-1:過去「◯◯◯」機能開発での不具合チケットのリストアップ
・b-2:b-1で挙げた不具合チケットで、今回の追加開発で影響または関連するリスクをピックアップ
・c:リスクの高い順に「高」「中」「低」の優先度を設定してください。
②リスク対策
①で挙げたリスクに対して、「開発側」や「QA側」で取り組むべきリスク対策を挙げてください。
リスク「高」の内容について、開発・QA以外のステークホルダで協力を仰ぐものがあれば、リスク対策として挙げてください。
新規開発の場合
「xxx」機能を新規開発予定です。
新規開発する際に、考慮すべきプロダクトのリスクとリスク対策を挙げてください。
①リスク
開発を行なう上で、考慮すべきプロダクトリスクを挙げてください。
・a:新規開発で既存機能に影響が出るリスク
・b:既存の開発技術選定で問題ないか、新規技術要素が必要か
・c:機能要件の他、「非機能要件」に関するリスク
・d:リスクの高い順に「高」「中」「低」の優先度を設定してください。
②リスク対策
①で挙げたリスクに対して、「開発側」や「QA側」で取り組むべきリスク対策を挙げてください。
リスク「高」の内容について、開発・QA以外のステークホルダで協力を仰ぐものがあれば、リスク対策として挙げてください。
2. テスト選定のプロンプト
「▲▲▲」機能を開発予定です。
先ほどのテスト分析の内容を元に、テスト選定をお願いします。
◯ テストレベル
ユニットテスト、統合テスト、システムテスト、受け入れテスト
・それぞれでどのテストが重要か、対応要否を挙げてください。
・特に重点的に取り組むべきテストレベルを挙げてください。
◯ テストタイプ
機能テスト、非機能テスト、ホワイトボックス・ブラックボックステスト
・それぞれどのテストタイプが必要か。
・機能テスト、ブラックボックステストでは具体的にどんなテストが必要か。(OS別テスト、ユーザーシナリオ、リグレッションテスト、探索的テストなど)
・非機能テストを実施する場合、どのようなテストが必要か。(パフォーマンステスト、負荷テスト、セキュリティテストなど)
・ホワイトボックスを実施する場合、静的解析ツールを使うか、手動で行なうかなど。
3. テストスケジュールのプロンプト
テスト分析、テスト選定の内容を元に、リスク・影響度の高いもの及び、時間や人員コストがかかるものを優先にテストスケジュールを設定してください。
・開発スケジュールは、YYYY/MM/DDと決まっているので、その日をオーバーする際は、リスクとして挙げてください。
(出力形式の例)
・yyyy/mm/dd〜yyyy/mm/dd:対応するチケット/実施するタスク(テスト設計)
・yyyy/mm/dd〜yyyy/mm/dd:対応するチケット/実施するタスク(テスト実施)
まとめ
なるほど!
『テスト分析』『テスト選定』『スケジュール』を順番にAIに投げれば、しっかりとした土台がすぐに出来上がるんですね。



その通り!
AIにドラフトを任せることで、私たちQAエンジニアは「レビュー」や最も重要な『意思決定』に時間を注げるようになるんだ。
3ステップで依頼
テスト計画では、「テスト分析」「テスト選定」「テストスケジュール」に分けて、AIにドラフトを作成してもらう。
調整はヒトが行う
優先度、影響度によってテストスケジュールを調整する。
本質にフォーカス
ヒトは「レビュー」、「意思決定」にフォーカスする。
AIを賢く活用して、テスト計画にかかる時間を劇的に短縮し、より品質の高いプロダクト作りにリソースを割いていきましょう!
最後に
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