皆さん、こんにちは。
今週もソフトウェアテスト、テスト自動化に関するニュース記事をご紹介していきたいと思います。
今回ご紹介する内容は以下となります。
■記事内リンク
・「旧来のテスト担当者の仕事は、たぶんどんどん減っていく」アジャイルへの移行に必要な品質向上の定義
・WEBコンテンツ『はじめよう動的テスト』を公開
・AIQVE ONEリアルイベント実施 第二弾は福岡で開催
・テクバン×ミクシィ×AIQVE ONE】3社共催!テスト自動化事例LT会
・テキサス大学ダラス校のカリキュラムの一部として採用されたACCELQのテスト自動化プラットフォーム
□「旧来のテスト担当者の仕事は、たぶんどんどん減っていく」アジャイルへの移行に必要な品質向上の定義
https://logmi.jp/tech/articles/326732
こちらは、2022年3月31日に開催されたイベント「今、エンジニアに求められる「アジャイル開発での品質視点の変化」にて、デジタルハーツ社、及びグループ会社の高橋寿一氏、高木陽平氏を招いて話された内容がまとめられています。
イベント内では、上記をテーマとして、約1時間の内容となっています。
内容で気になった箇所をピックアップしています。
◇ウォーターフォール開発からアジャイル開発への変化について
私もこの内容で共感したのは、アジャイルは素晴らしい、ウォーターフォールは古いといった声は多方面で聞きますが、品質やテストに関しては、特に聞きません。
開発、またはDevOpsによる運用などは書籍等でも記載されていることはありますが、品質、テストに関する書籍はあまり見当たりません。
これは、国内ではまだアジャイル開発によるテスト、品質の担保などがまだ手探りの状態ではないかと思います。
スピーカーの高橋氏は、自身の書籍「ソフトウェア品質を高める開発者テスト」を中心に、以降話されています。
◇バグの数を数えるのは意味がない
「ウォーターフォール時代、バグと品質は相互関係であった」また、「バグは絶対ゼロにならない」と述べられています。
高橋氏は、バグの数を数えるのは、今後意味がなくなるのでやめようとも述べられています。
私も、上記意見に賛同する部分もあります。
バグの「数のみ」では、品質を向上する意味はそこまでないので、バグの数と合わせて、バグが多い「領域の特定」、「種類」などのメトリクスとして取るのは有益であると考えます。
◇Agile品質担保に必要な4つのBox
高橋氏は、Agileの品質担保について、考案された4つのBOXが紹介されていました。
・開発者の品質フレームワーク | ・テスト担当者の品質フレームワーク |
・開発者の具体的な作業指針 (上記フレームのブレークダウン) | ・テスト担当者の具体的な作業指針 (上記フレームのブレークダウン) |
「開発者の品質フレームワーク」
どのような戦略で開発者テストを行っていくのか。
各イテレーションでのアーキテクチャーはどのように行うか。
「開発者の具体的な作業指針」
計画や戦略を決めた後、アクティビティをどのように行っていくか。
開発者では、リファクタリングや、単体テストをどのように行うかなど。
「テスト担当者の品質フレームワーク」
どのような品質フレームワークを使用するのか。
例としてIEEE829(電気電子技術者協会のテスト全体計画)、またはISO29119といったフレームワークを使用するのかなど。
「テスト担当者の具体的な作業指針」
テストケースは書くのか。
1スプリントの定量的な品質目標は何か?
私もフレームワークを明確に定めるのは賛成です。
社内のローカル的なものよりも、標準的なIEEEやISOといったフレームワークを使用するのは良いかと思います。
ただ注意なのが、上記のフレームワークを使用する場合、開発チーム内での認識合わせが必要不可欠になります。
知らないメンバーもいる場合は、ドキュメントを定時する以外に、説明の場が必要であると思います。
◇開発者の作業は単体テストに頼らざるを得ないような世界に陥っていく
前項の「Agile品質担保に必要な4つのBox」を用いた場合、ウォーターフォールモデル、アジャイルモデルの場合がそれぞれ紹介されています。
・ウォーターフォール開発モデルの場合
右下の「テスト担当者の具体的な作業」の比重が大きい状態となる。
・アジャイル開発モデルの場合
左下の「開発者の具体的な作業」の比重が大きい状態となる。
(単体テストの比重が大きくなる)
アジャイル開発での1スプリントを2週間とした場合、その中で単体テスト、結合テスト、システムテストの実施は、よほど大きい規模、メンバーが揃っているプロジェクトでないと対応できないと思います。
そのため、「単体テスト」や、「レビュー」、「リファクタリング」などにフォーカスして対応するといったことになると思います。
「単体テスト」で品質を担保することとなります。
◇旧来のテスト担当者の仕事は、どんどん減っていく
アジャイル開発モデルでは「開発者の具体的な作業」部分の比重が大きくなるため、テスト担当者は、
ソフトのコーディングスキルが必要になり、旧来のテスト領域のみの担当者の仕事は、減ってくるのではないかと高橋氏は述べています。
こちらの内容については、私も同意見です。
アジャイルテストの第四象限でもあるように、今後のテスト担当者は第三章限、第四象限となるユーザー目線のテスト、運用、セキュリティに関するテストを行えることが重要になってくると考えます。
◇効率的に品質を上げているGoogleの例
ここで、Google社の場合取り組み方について紹介されています。
Google社では、「テスト担当者がいない」とのこと。
「テスターがいない」らしいです。
よって、開発者が開発をこない、自身が担保する領域をテストをおこなうとのことです。
マニュアルテストをやっている時間がないため、上流の「単体テスト」のみで品質を担保しているようです。
Googleの取り組みは、こちらの内容で初めて私も知りました。
アジャイル開発において、理にかなった取り組みだと思いました。
上記高橋氏、高木氏のセッションの内容に付いては、続きがあるようです。
ご興味のある方は、以下ページにアクセスしてみてはいかがでしょうか。
https://logmi.jp/tech/articles/326743
□WEBコンテンツ『はじめよう動的テスト』を公開
https://hldc.co.jp/special/dynamic-test/?utm_source=nc20220616&utm_medium=PR&utm_campaign=newscast
こちらは、ハートランド・データ社が組み込みソフトウェア開発の課題解決方法を紹介するWebコンテンツ「はじめよう動的テスト」を公開した内容となります。
このWebページは、ハートランド・データ社がサービス運営する動的テストツール「DT+」の販促向けとなります。
動的テストとは何か、どのような事例があるか、動的テストツール「DT+」とは何か、「DT+」を導入することで、どのようなメリットがあるかなど紹介されています。
◇「はじめよう動的テスト」について
こちらのページでは、動的テストの概要や、動的テストツール「DT+」の紹介、解説動画が掲載されています。
・動的テストとは?
プログラムコード等操作を行い、その結果からソフトウェアのバグ検出や、品質評価、動作確認を行うテスト方法です。
マニュアルでの操作も該当します。
逆に、動作をせずにテストを行う場合は、「静的テスト」と呼ばれ、操作やプログラムコードを実行せずに、ドキュメントやソースコードのチェックを行い、誤りや脆弱性を検出するテスト方法となります。
◇動的テストツール「DT+」について
ハートランド・データ社がサービス運用する「DT+」について、私も初めて知りましたので、調べてみました。
「DT+」は、DX(デジタルトランスメーション)、Diverdity(多様性)、Dynamic(動的)の3つのDが含まれており、それがロゴにもなっています。
「DT+」の特徴としては、以下となります。
・CPUやOSに依存しない
・長時間、連続(最大30日間)でのトレースが可能
・リモートでテスト環境のモニタリングが可能
・コンパクトなハードウェア機材
・データ取得(外部信号によるトレース開始、停止が可能)、イベント信号の出力も可
・HWスペックの向上(ロジック入力、アナログ入力の拡大など)
・操作が簡単(1.ソース投入、2.ビルド実行、3.動作)
・動作結果のレポートで各カバレッジを取得し見える化
・メジャーな言語サポート(C/C#/C++/Java/Python)
「DT+」の利用料金は明示されていませんでしたが、2週間のトライアルが可能となっています。
ご興味のある方は、ハートランド・データ社のページにアクセスしてみてはいかがでしょうか。
https://hldc.co.jp/
□AIQVE ONEリアルイベント実施 第二弾は福岡で開催
https://www.aiqveone.co.jp/news/2022/511/
こちらは、AIQVE ONE社がゲームテストのリアルイベントを大阪で開催し、第二弾として福岡で開催予定となる内容です。
AIQVE ONE社については、過去当ブログでもご紹介致しました。
【News】4月5週のニュース(Webサイトテスト/探索的テスト/AIQVE/ソフトウェアテスト認定/超自動化について)
AIQVE ONE社では、第三者検証会社のようなテストサービスの他、テスト自動化ツール「Garbo」、Twitterからツイート内容を収集・分析する監視ツール「Oreo」なども展開しています。
第一弾のイベントでは大阪で開催され、上記「Garbo」、「Oreo」の実体験が行えるイベント内容が紹介されています。
◇第一弾大阪イベント
第一弾での大阪では、各自動ツールの実体験の他、自動化セミナーも実施されたようです。
・自動化セミナー:アンチパターンから見るテスト自動化導入ポイント
テスト自動化導入について、問題のある傾向が高いアンケート結果を用いて、テスト自動化についてのポイントなどご紹介されたようです。
・自動化体験コーナー
テスト自動化ツール「Garbo」
「Garbo」は、iOS/Androidの他、先日Nintendo Switchの3機種に対応したゲームのテスト自動化ツールで、実際のゲームのテスト自動化体験ができる内容となっていました。
収集・分析・監視ツール「Oreo」
Twitterのツイートで、ゲームに関する意見などを自動収集し、AIが分析レポートを作成するまでの流れを体験できる内容となっていました。
◇第二弾福岡イベント
第二弾の福岡では、7月7日に以下内容で開催されるとのことです。
・日時: | 7月7日(木)19:30~22:00(予定) |
・形式: | 講演会形式(オフライン)、軽食会 |
・場所: | 福岡市内天神・博多付近 |
・参加費用: | 無料 |
・セミナー内容: | ・テスト自動化の導入ポイント ・AIQVE ONEのテスト自動化ツールのご紹介 ・新しい形のテスト運用方法について |
・お問い合わせフォーム: | https://www.aiqveone.co.jp/contact/ |
ご興味のある方は、AIQVE ONEの公式ページにアクセスされてみてはいかがでしょうか。
https://www.aiqveone.co.jp/
□テクバン×ミクシィ×AIQVE ONE】3社共催!テスト自動化事例LT会
https://www.techvan.co.jp/event/20220628webaiqve_one3lt/
こちらは、テクバン社、ミクシィ社、AIQVE ONE社の3社共催で、テスト自動化事例LT会(ウェビナー)のお知らせとなります。
本ウェビナーでは、テスト自動化について、テクバン社、ミクシィ社、AIQVE ONE社それぞれで、テスト自動化に取り組まれている方のお話が聞けるようです。
◇ウェビナー概要
・セミナー名: | 【テクバン×ミクシィ×AIQVE ONE】3社共催!テスト自動化事例LT会 |
・開催日時: | 2022年6月28日(火曜日)19:00~20:30 |
・応募締め切り: | 2022年6月27日(月曜日)12:00 |
・定員: | 100名 |
・参加費: | 無料 |
・セミナー内容: | 19:00~19:10/オープニング 19:10~19:30/テスト自動化自動化の魅力に気づくまで 19:30~19:45/モンスターストライクのQA効率化の取り組み 19:45~20:05/テスト自動化でフリーテストを実現することはできるのか? 20:05~20:25/TIPSTARの自動化~泣いて笑って捲られて 20:25~20:30/クロージング |
・申し込み: | https://tech-quality.connpass.com/event/250002/ |
個人的にモンスターストライクのQAについて興味があります。
参加してみたいですね。
ご興味のある方は、以下詳細ページにアクセスしてみてはいかがでしょうか。
https://www.techvan.co.jp/event/20220628webaiqve_one3lt/
□テキサス大学ダラス校のカリキュラムの一部として採用されたACCELQのテスト自動化プラットフォーム
こちらは、海外の「businesswire.com」に掲載されていた内容となります。
テキサス大学のダラス校のカリキュラムとして、AIを活用したノーコードのテスト自動化プラットフォーム「ACCELQ」が採用されました。
デジタルコンサルティングプロジェクトコースで、クラウドでAIを利用したノーコードプラットフォームを使用したテスト自動化とテスト管理を学生に紹介します。
ACCELQのテスト自動化ソリューションを追加することで、学生は、高品質のライフサイクルのすべての側面をカバーするノーコードプラットフォームを使用して、リアルタイムの自動化のユースケースに取り組むことができます。
ACCELQの創設者兼CEOであるMahendraAlladi氏は、『このコースでUT Dallasと提携し、学部生がノーコード自動化の力を学び、受け入れることができるようになりました。「効果的に協力することを学び、コードレスの力を活用することで、彼らは貴重な経験を積み、キャリアの機会の世界を開きます。』と述べたようです。
日本の大学のカリキュラムに、Autifyが選ばれたようなイメージですね。
海外では、大学でソフトウェアテスト、テスト自動化に触れる機会ができるようです。
とても素晴らしいことだと思います。
日本でも、同じような取り組みが行われることを望みます。
この「ACCELQ」について、初めて知りましたので、調査してみました。
◇「ACCELQ」について
(公式サイト)
https://www.accelq.com/
「ACCELQの特徴」
ACCELQは、クラウドAIを活用したコードレステスト自動化ツールです。
・テスト自動化の対応
ACCELQは、Web、Mobile、API、マニュアルでのテスト自動化が行えます。
Webでは、AIによる自動化、レコード機能により、コーディングの必要がほとんどありません。
また、自己修復機能が搭載されており、メンテナンスコストがかかりません。
さらに自動テスト生成が行えます。
Mobileでは、Android、iOSにそれぞれ対応しており、こちらもコーディングの必要がありません。
テスト自動化を行う上で、設計、開発、実行を行うセットアップは必要ありません。
APIでは、クラウド上のゼロコードAPIテスト自動化が行えます。
RESTfulWebサービス、マイクロサービスに対応しています。
マニュアルテストでは、AIベースのテスト管理が可能です。
アジャイル開発向けに設計されたテスト管理ツールを実装しています。
価格設定として、Web、Mobile、APIは無料版が用意されています。
マニュアルテストの管理ツールは、個人ベースであれば無料、チームとして資料する場合は、無料トライアルがついています。
それぞれ、無料トライアル版が用意されていますので、ご興味のある方は、ACCELQの公式ページにアクセスしてみてはいかがでしょうか。
https://www.accelq.com/
◇テキサス大学の取り組みについて思ったこと
以下からは、私の持論となります。
日本では、テストや品質に関することは、社会人になってから、ましては社会人経験を積んだ中途でようやく携わることができます。
新卒でテスト、品質の仕事でかつ正社員を取る企業はごく僅かでしょう。
私の一意見ではありますが、日本国内でも、テキサス大学のように、早期にソフトウェアテストに携わる仕組みが必要であると思います。
テストや品質にかかわる仕事は、良くも悪くも、プロジェクトに参加してから上流から下流まで一連のプロセスで携わることができます。
また、プロジェクト外においては、日常業務などにも、問題意識を持ち、品質改善、効率化に取り組める有意義な仕事であると考えています。
バックエンド開発、UIデザイン、フロントエンド開発といったプロセス、工程を俯瞰的に見ることができます。
テストや品質の仕事は、それらの担当の方と密接にかかわることができるので、ソフトウェアテストの仕事を続けることはもちろん、
開発、デザイン、方面へも興味があればジョブチェンジが可能であると考えています。
ソフトウェアテストは、若い人材に様々な可能性を見出す仕事であると私は考えます。
■最後に
今回は、以上の国内ニュース、海外ニュースを取り上げてみました。
次週も、ソフトウェアテスト、テスト自動化に関するニュースをご紹介したいと思います。
最後まで見て頂き、ありがとうございました。